宝塚初心者のとりとめない会話② ~歌について~
12月22日(土)私の部屋にて
K:ねえ、キキちゃんのルドルフの歌聴いて。歌がちょっと残念かなって思うんやけど(※宙組のライブビューイング後は、2人ともキキちゃんの歌・演技・オーラetc大絶賛でした。)
私:レンタルのやつ?
K:そう。期限あと30分くらいやし。
私:なんでそんなギリギリなん。
K:数分だけやし聴いてみて。
私:・・・(聴く)・・・。しっかり歌ってると思うけど。これじゃダメなん?
K:んーーーー・・・。
私:っていうか私、最近、耳がやさしい耳になってて。
K:ダメやん(笑)
私:うん、そう。慣れたらダメやなとは思ってるけど。
私:もっかいちゃんと聴くわ。・・・(聴く)・・・。えっと、トートのみりお君の方が上手いと思う。
K:うん。みりおの方が上手い(※キキちゃんファンなので悔しそう)
私:キキちゃんとみりお君の何が違うかって言うと、声に艶があるかどうかかなって思う。
K:うん。
私:キキちゃんは、低音を出すために胸に響かせてて、それは当然そうなるとは思うんやけど、口の中とか、頭とか、引き上げる力?みたいなのが足りてないからバランスがとれないんだと思う。本来ゴムみたいな感じが理想なんだと思うけど。
K:?
私:上か下かどっちかだけへの方向の力だと、ゴムって伸びないよね?常に上下どちらへも意識がいってないとダメっていうか。
K:わかるようなわからないような。
私:声楽のレッスンって、面白い例えの連続やしね。ゴムの例えは、私が考えたんじゃなくて、声楽の先生に教えてもらったことだし。足の裏から息吸ってとか、目の裏を開けてとかはよく聞くよね?あと、発声練習もすっごく面白いよね。
K:そうなん?
私:お花様(花總まり)は、「ニャニャニャニャ」って猫みたいにするって言ってた。「徹子の部屋」で。
K:おもしろいね。
私:私はゆる~いグループレッスン数年とマンツーマンのレッスンは1年くらいしかしたことないけど、やるのがまず恥ずかしいっていう壁があって。「んげ~~~」って歌ったり、歌いながら顎を左右に動かしたり。顎を左右に動かすと首の緊張がとれて声がすごく出るよ。もちろん、動かしながら本番歌うわけにはいかないけど、脱力の感覚がつかめる。でも恥ずかしい!
K:慣れ?
私:近所に芸大卒の声楽家の人がいて、その人が発声練習するときに一緒の部屋にいたことあるんやけど、まあやっぱりすごい変で(笑)、でも慣れてるだろうしって思ってたら、突然「やっぱり恥ずかしー!」って言ってたから、恥ずかしがる人も珍しくはないんじゃない?
K:ヅカファンブログとか読んでると、歌が下手とかはっきり書く人もけっこういるよね?
私:でも理由は書かれてないこと多いよね?
K:一刀両断。
私:褒めるときはそれでいいと思うけど、否定的な意見のときは詳しく知りたいよね。私の数ある座右の銘のうちの1つが「責難(せきなん)は成事(せいじ)にあらず」やから。
K:どういうこと?
私:「責めたり非難することは、何かを成すことではない」っていう意味。『十二国記』っていう小説の中の言葉。BSでアニメもやってたよ。
K:いいねぇ。
私:20代前半くらいのときに読んで、私その頃、批判と呼べないレベルの批判しまくってたから(笑)、この言葉はすっごく刺さったわ。ねえ、歌のこともっと語っちゃってもいい?
K:好きにおやり。
私:Kって、ちゃんと話聞いてないよね。あと覚えてない。
K:突然怒られる(笑)
私:付き合いはじめの頃、私が一生懸命しゃべった後にさあ、「よーしゃべるなぁ、ヒャッヒャッヒャ」ってよく笑ってたよね。
K:あと、何回でも同じ話を同じ熱量でしゃべってくる!
私:才能です(笑)さいしょの頃は私が気づいてないと思って、おとなしく聞いてくれてたんやよね。私、いつ誰に何を話したかけっこう覚えてるから。
K:わかってたって知った時の驚き(笑)
私:じゃあ、続きね。
K:はい。
私:宝塚の人の歌い方で、特に男役の人の歌い方で、下手だなって感じるときの原因って、口の中の空間の作り方に問題があるのかなって思うことが多い。声帯の位置も関係あるんだろうと思うけど。響きがないと、効率よく遠くへ音を届けられないから。口をちょっと開けて、手で唇をポンポンってして、鼓(つづみ)みたいに響かせるってわかる?響くように口の中を調整するの。これも恥ずかしいけど。
K:なんとなく。
私:前に、歌が上手くないって困ってた人がいて、私も素人だから、あーでもないこーでもないって工夫したことがあって。その人の声に響きがなくてどうしたものかと考えて、これを思いついてやってもらったら、声に艶がでたことがあって。たった1人の事例ではあるけど。
K:へー。
私:拍手も、響く人と響かない人いるよね?掌をかるく丸めてずらして空間を作るかつくらないかの違いだと思うけど。空間作り大切。
K:なるほどね。
私:で、他にもいろいろ工夫したんやけど。子音を言う瞬間にすでに良いモードに入れるかが決まるとか、母音の最後まで気を抜かずに響きを保つ意識を持ち続けるとか。けっこうちょっとしたコツの部分も大きいと思う。鼻濁音ってわかる?
K:うん。
私:「わたし」っていう前に小さく「う」っていれるとか、「が」の前に小さく「ん」って入れるとか。ポップスとかだとバランスが難しいけど、宝塚の人が歌うポップスってなんとなく本当の素で歌ってしまってる人が多い気がする。
K:クラシックっぽく歌うと変やしね。
私:そう。難しいと思うけど。でも、私が言ったことって、基本的なことだと思うから、プロの人にとっては。普段姿勢が悪い人が姿勢を正すと頑張ってるって感じると思うけど、姿勢を保つために使う筋肉って、当たり前のレベルなわけで。わかる?
K:わかるようなわからないような。
私:ね(笑)。そして、口の中とか声帯の位置とかがきちっと決まってないと、ホースで水やりするときにさあ、
K:また例え?
私:そう、また(笑)。先にシャワーヘッドのついていないただのホースで水やりするときに、先をしっかり固定してないと方向が定まらないし、勢いも分散されちゃうよね?そんな感じで、安定して息を勢いよく送れるかどうかが、肺活量とは関係ないところにもポイントがあると思うってこと。口の中とか頭の裏(?)を引き上げるときに背筋もいると思うんだけど、決めるべきところが決まってないと、息を安心して勢いよく送れないし。そして不思議と息も溜めておけないし。いろいろな要素が繋がっているんだと思う。
K:わかるようなわからないような。
私:うん(笑)。でもコツって本当に大切だと思う。やみくもに練習してもしょうがない。歌に限らず何でもそうだと思うけど。でも、例えば腰に息を入れる(実際には横隔膜をしっかり下げて息を入れるってことだけど)なんていうのは、コツもあると思うけど、努力の部分が大きい気がする。できないからわかんないけど。
K:できないんかい(笑)
私:できない!(笑)寝転がって、足を頭の上にガラケーみたいに折りたたんで息すると腰に息が入るのがわかるよ。立ったらできないけど(笑)
K:ほー。
私:で、私が何を言いたいかって言うと。
K:はいどうぞ。
私:宝塚って、けっこう下手だなと思う歌に出会うことあるよね?でも、ジェンヌさんたちは、皆さん本当に努力努力の人たちだから、私はジェンヌさんたちの努力が足りないなんて全然思わなくって。
K:ものすごく努力するよね。
私:そう!撮影の衣装とか自前が多いみたいだったり、本番の衣装でさえ手作り部分があったり、お化粧とか、何から何まで心配りもすごいし。
K:めっちゃくちゃ忙しそうやよね。
私:それだけ努力できる人たちなのに、成長に差があるのは不思議なことじゃないとはいえ、人それぞれ歌唱法が違いすぎたり、1人の人の中でも、曲によって歌唱法にブレがあったり(意図したものじゃなくて、無意識に切り替わっちゃってる感じ)。教育どうなってるの?って思って。なんかもう親の目線ていうか、うちの子の教育ちゃんとしてくださってます?みたいな。
K:モンスターペアレント・・・(笑)
私:笑。『この恋は雲の涯まで』のときの一路さん、当時中学生の私からしても、声が出しずらそうって思ってて。
K:杜けあきがトップのとき?
私:そう。でもその後はエリザとか東宝出演したりとかしてすごいけど、だいぶ後のインタビューで、海外で発声を習いなおして、そのときにこのままの発声法じゃ喉を潰すって言われたとか確か言ってたから※、そこで変わったんだよね、きっと。あと、柚希礼音(たぶん)のドキュメンタリーを観たことがあって、宝塚の歌の先生が海外の最新の歌唱法を身に着けて帰ってきてそれを教えてもらうみたいな場面があったんだけど、その教育って下級生にまで広く届いてるのかとか気になるよね。個人の努力に頼りすぎなんじゃない?って。
K:宝塚にメール出しなよ(笑)
私:いや(笑)
歌の話、まだつづきます・・・
※調べてみたら、一路さんがロンドンで発声法を学んだ時のことが語られているインタビュー記事がありました→ 一路真輝 女優 | 毎日新聞出版